もしあなたが、
- 今いる業界全体が盛り上がっているけれど、自身がいる会社や組織がイケていない
- もっと良い環境があるはずだ
- 周りの人がどんどん転職して自分もしなきゃ
と思っていたら、ぜひともこの記事も参考にしてみてほしい。
すぐに転職してしまうのは、もったいない。
あえて残ってみる選択肢もあるということをお伝えしたいと思います。
Contents
キャリアでの転機
仕事や人生の時間は連続的ではありますが、キャリアは非連続なものだと思います。
毎日の経験、自己研鑽の積み重ねはあるものの、それが表出して我々の人生に影響を及ぼすタイミングは、
連続的なものではなく、様々な条件が揃った時に一気に進むようなものだと思います。
(ある意味ポケモンの進化のようなものとも言えます)
キャリア上での転機としては、昇進、組織異動、駐在、出向、転職等が主なものとして挙げられますが、
こうした転機によって、自身の客観的な収入、役割、地位、環境が強制的に変わり人生に大きな影響を及ぼします。
転職は最もわかりやすい転機
いろいろなキャリアの中での転機がある中で、転職はもっともキャリアや人生を簡単に変えられるようなものでしょう。なぜなら、きっかけはどうであれ、転職自体は自身の選択と行動が及ぼす比重が他の転機に比べて多いです。
そして、自身の選択と行動にゆだねられる分、行動もとりやすく、また、今のご時世転職へのハードルが下がる中転職をキャリアアップの手っ取り早い手段として考える人は多いでしょう。
もちろん私自身もそのように思います。
転職したいと思った時はあえて残ってみる
この記事で伝えたいことは、転職したいと思った時にあえて残るという選択肢を取った方がうまくいきやすいのではないかということです。
ただし、これには前提があり、仕事を単なる仕事以上にとらえ、自身の自己実現の手段として一定以上コミットしている人、そしてその中で職場環境、雰囲気、会社・業界のトレンドにある程度敏感になって、日々過ごしている人だと当てはまりやすいのではないかと思います。
このような方が転職したいと思ったタイミングは、周囲の中でも相対的に早く、いろんな動きを早く察知できていると思います。そのため、実は早すぎてもったいなかったり、転職自体すべきでないと考えられたりする場合があると思います。
その理由を説明していきます。
会社・組織の大変動後にはチャンスがある
- 環境の察知に長けた人が転職したいと思ったタイミングは、会社や組織で何か大きな環境変化(=大変動)が起こるのに比べて相対的に早い
- 察知能力に長けた人達は概ね大変動が起こる前に転職してしまう
- 大変動の前後には、必ず大きな人の出入りが発生し、組織が不安定になる
- 不安定な組織の中で残り続ける人は、よっぽど無能でない限り重宝されるため、相対的に価値が出やすい
上記のようなことから、会社や組織で大変動が出そうになる前に、勘のいい人はすぐに別のところに移ってしまう。
確かにそれによって変動による被害を被るリスクは避けられますが、変動後に生じるチャンスを逃してしまいますし、またこうしたチャンスがあること自体にずっと気づかないこともあるかもしれません。
そして、よっぽど新天地が良い条件でない限り、転職後は大きなエネルギーを使って再度スタートを切らなければいけないのがほとんどかと思うので、そのリスクも無視できません。
一方で、大変動後の不安定な組織に残ることで、確かに不安定さはありますが、これまで会社で積み上げた土台はありながら、なにもせずとも自身の価値が環境によって相対的に上がりやすい状況になっています。実はこのようなトレンドが、変動後のチャンスやうまみの一つです。
大変動後の反動のうまみを十分に得てから転職するのも悪くない
鋭い方は気づかれたと思いますが、「 なにもせずとも相対的に上がっていくようなトレンド」とは絶対的な自分の立ち位置が変わらずにただ単に会社や組織が下がっているだけではないか、と。
その通り、ここで非常に重要な判断な分かれ目としては、この下がり目を人によっては「オワコン」ととらえることもあるし、一方で「次のステップアップに向けた調整期」ととらえることも可能です。
もし後者であれば、転職してしまうことはむしろ組織がいい方向に向かうときのうまみを享受できずに、もろに転職のリスクを被る二重苦になるが、残っていれば大変動後に相対的に自身の価値が上がっていくトレンドのうまみを得られるかもしれませんし、本当の意味で調整期を経て組織がいい方向に向かえば、転職すら考える必要がなくなるとも言えます。
そういった意味では、上がり調子の業界や、しぶとく時代の変化に応じて変化してきた業界でそれなりに生き残っている会社はこうした調整期による組織の大変動が起こりやすく、こうした変動は忌避せずにしぶとく生き残ってから身の処し方を考えた方がよいでしょう。もし今いる業界や会社自体がそもそもオワコンであるなら、転職をするという選択肢を積極的にとるべきでしょう。
大変動とは具体的にどんなものか
なお、経験上以下が会社・組織の大変動の例で、自身の職場の状況と照らし合わせて判断してみてください。
- 社長や組織の重役の退任、転職
- 退職者がたまたま続いて、退職する雰囲気が組織内に広まる
- 組織が分解するような大きな組織変更
- 炎上案件や問題のある管理職の噂が広がり退職者が続出
基本的に重役・要職がいなくなる、チームや組織が分解・なくなる、退職者が続出するような状況は、会社や組織にとって極めて不安定です。
業務領域・業界や会社自体は問題ない前提においては、大変動が起きても本来の組織やチームが担うべき業務自体は残っていることが多いです。この業務をリードする人、実行する人が減るような状況においては、短期的に非常に苦しいのですが、実力が備わればすぐに抜擢される可能性がありますし、不安定な変動期が終わると経験と相対的に自身の重要ポジションが確立されていることが多いです。なぜなら、自身の代替になるライバルが少ない、もしくはそもそもいないような状況が変動期の後です。
水に浮かぶ氷山のようなもの・・・
ここまでの話をもう一段抽象化して、会社や組織を氷山と例え、キャリアアップは氷山の上を目指すこととしてみましょう。大変動は、大きな氷山がこれから海に浮かび上がろうとする前の反動、もしくは、溶けてなくなり沈みかけていく前兆と考えることができます。
仮に今乗っている氷山が大きなもので、これから浮上し、水面にその大きな姿を現そうという時だとしたら、一時的に沈み込むこともあるでしょう。この時に怖くなってほかの氷山に飛び乗ってしまう人たちは、前述した勘がよくすぐに転職してしまう人たちです。
そんな中、動じずに今いる氷山にしがみつきつつ、上に登ろうとします。もちろん他の人もいなくなるので、上に行っても自分のスペースはあります。氷山の上には移動していますが、海抜という意味ではほぼ同じ位置かもしれません。これはある意味自身が変わらなくても、相対的に自身の価値が上がるような状況です。
さて、ここまでは氷山が大きく浮かび上がる前の一時的な反動で、自身はそれによって氷山の上のポジションを、他の氷山に飛び移る人たちを尻目に難なく上りました。この時点では海抜は変わっていないのですが、ここから先は氷山の浮かび上がる大きな力と一緒に自身の絶対的な海抜の高さも一気に高くなっていきます。
そうなると、他の氷山から見ると高いところに位置していますし、他の氷山に飛び移るのも難しくないかもしれません。
大変動のうまみとは?どうそれを活かすか?
端的に言うと、大変動が起こっても残り、うまくやり過ごすことで、以下のようなメリットがあるでしょう。
- 昇進や責任ある立場に抜擢されやすくなる
- 仮に重要なポジションに抜擢された場合には、自分が望む職場環境やチームをゼロから作ることができる
- 大変動のような苦しい場面を乗り越えたこと自体が次の転職時の重要なアピールネタになる
- 実力がある前提においては、組織や会社の大変動を経てなお残ることで、社内での交渉力が強くなる
最後に
キャリアは人生という長い道のりの中で非常に重要な位置を示しています。
自身が持っている限られた時間、能力、人脈、金銭といった資源を最大限に生かしてよりよいキャリアにするためには、戦略的に状況判断することが求められます。
もちろん、自身の資源が十分にあるのであれば、正攻法で仕事で経験を積んで成果を出す、状況関係なくよりよい企業への転職を考えればいいと思います。
ですが、一見リスクのような状況でもうまくその変動を味方に付けることで、能力以上かつ通常かかる時間以上に自分のキャリアを次のステップに進めることが可能になります。
また、自身のキャリアでこのような状況把握、トレンドを味方につけることができるなら、そのこと自体が仕事に通じます。なぜなら、外部環境や競争相手のいる中で効率よく戦略的に会社や事業を成長させるための考え方と本質的に同じではないかと思うからです。
能力が十分でないのに、状況変化を味方につけてキャリアップなんてしたくないというような考え方もあるでしょう。
ただ、これは正攻法、王道であり、皆が選択してうまくいく方法ではないです。地の利を生かしてのしあがるというのも選択肢の一つで、それ自体否定されるものではないですし、役割が与えられて能力が開発されるとも考えることができます。
次のキャリアアップのチャンスが目の前にあって、それを掴むか、見過ごすかは自分次第だが、限りある人生の時間で早く確実にそれが自らの前に現れるのであれば、それに越したことはありません。選択肢があることは素晴らしいことです。